すごい!

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

涙香迷宮
著者  :竹本 健治
分類  :小説
総合評価  :★★★★
文章    :★★★★★
内容    :★★★★
キャラ   :★★★★

「このミステリーがすごい」に選ばれていましたけど,
確かに「すごい!」と言いたくなる作品でした.
いわゆる「誰が犯人なのか」というのを推理するタイプではなく,
暗号を推理するタイプのミステリーとして,近年の代表作になりそうな作品でした.
暗号は「いろは歌」を題材にしたもので,「いろは歌」が一つのジャンルになっていて,その中で様々なバリエーションがあることにも驚きましたし,この小説のために用意された「いろは歌」は非常によくできていて感動すら覚えるものでした.
内容としては,明治時代に実在した「黒岩涙香」が残した暗号を解きつつ,殺人事件の犯人を囲碁棋士が探偵役となって推理するというもので,暗号や犯人捜しだけでなく,囲碁や連珠(詰将棋)に関する知識やその歴史についても多く触れられていて,勉強にもなる本でした.

しんせかい
著者  :山下 澄人
分類  :小説
総合評価  :★★★★
文章    :★★★★★
内容    :★★★★
キャラ   :★★★★

芥川賞ということで読んでみました.
普段特に芥川賞という理由で本を読んだりすることはないのですが,軽く調べたときに「山下澄人の作品は反小説的な小説といえるだろう」という意味不明な感想を見て興味を持ちました.
ちなみに,「反小説的」とは,「これらの小説は、読者を受け身の享受の状態にとどめる従来の小説と異なり、読者の自由を尊重し、それに呼びかけて、読者とともに世界に問いかける文学なのである。」
(https://kotobank.jp/word/%E3%83%8C%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%83%B3-111030)
なるほど,わからん.

というわけで実際に読んでみると,かなり技巧的な文章が多いように感じました.こういう技巧的な文章は下手に書くと意味不明になりそうな気もするけど,そうならないようにぎりぎりのところで書く文章能力に感動しました

「しんせかい」と「率直に言って覚えていないのだ、あの晩、実際に自殺をしたのかどうか」の二作品が収録されているのですが,「しんせかい」では割とストーリ性があるのに対し,「率直に言って覚えていないのだ、あの晩、実際に自殺をしたのかどうか」ではでは心情表現と技巧的な文章に全振りしている感じで,良いバランスになっていてよい組み合わせでした.

蛇足ですが,「しんせかい」のラストシーンの次のページで「率直に言って覚えていないのだ、あの晩、実際に自殺をしたのかどうか」という文がいきなり出てきて,「なぜ,自殺したし!!」ってツッコミを入れてしまった人は自分だけではないはずと信じています.

ホラーはモブキャラを殺すのにも全力を尽くす

ノロワレ
怪奇作家真木夢人と幽霊マンション (下)
著者  :甲田 学人
分類  :ライトノベル
総合評価  :★★★★
文章    :★★★★
内容    :★★★★★
キャラ   :★★★★

いよいよ解決編です.
「断章のグリム」などでもおなじみの伏線をうまく回収していき,ナルホドと思わせてくれる最後でした.
サブタイトルに名前はあるもののこれまで登場機会の少なかった真木夢人ですが,
今回はかなり登場の機会も多く,その人物像や考え方が触れられていて,見所の一つです

躁だ!岡山に逝こう!

唐突に友人に勧められて,岡山に一人旅してきました.
「甲田 学人」先生は岡山出身らしいということに旅が終わってから気付きました.
そういえばあまり意識していなかったけど,作家の方々の出身地をもう少し気にしてみてみようかなという気になりました.





ノロワレ
怪奇作家真木夢人と幽霊マンション (中)
著者  :甲田 学人
分類  :ライトノベル
総合評価  :★★★★
文章    :★★★★
内容    :★★★★
キャラ   :★★★★

起承転結でいうところの「承」ですね.
タイトルの「ノロワレ」という名前通り,呪い関連の小ネタも多く,特に,千羽鶴が連なった藁人形みたいで気持ち悪いという話は「確かに」と思ってしまいました.
また,ホラーとしてお決まりの展開みたいなのも結構あって,
ふと,「ホラー業界の「ノックス十戎」みたいなのありそう」と思いました.
例えば「唐突に出てきた霊媒師によって事件が解決してはいけない」みたいなのありそう.

実は引っ越し検討中です.
新居がいわくつきだったらいいなぁと思っている今日この頃です.

ノロワレ
怪奇作家真木夢人と幽霊マンション (上)
著者  :甲田 学人
分類  :ライトノベル
総合評価  :★★★★
文章    :★★★★
内容    :★★★★★
キャラ   :★★★★

「Missing」「断章のグリム」の作者の別作品です.
「断章のグリム」ほどファンタジーでもなく,「Missing」ほど怪異寄りでもないという意味では,
やや現実的なホラーという印象を受けました.

怪異はその本質が理解されたとき,その力を失うという考え方は「断章のグリム」の流れそのものですし,
「Missing」でも近い考え方が根本にあったように思います.
前作を読んでいるひとはもちろんのこと,舞台が比較的現実的なのでとっつきやすくなっているので初めてでも面白く読めるのではないかと思います.
まだ,上巻は起承転結の「起」という感じですが今後の展開が楽しみです.

神をも冒涜する12番目の理論


僕が STEINS;GATE を買ったの
って7年前なんですねということをしみじみと感じる.
最近 Chaos:Child がアニメ化しましたが,その前作に当たるCHAOS:HEAD を紹介したのもそれぐらいの時期だった.
ちなみに,CHAOS:HEAD は僕が20歳になった時に記念と勢いで買ったゲームでした(どうでもいい情報).





STEINS;GATEゼロ
分類  :サウンドノベル
総合評価  :★★★★★
文章    :★★★★★
内容    :★★★★
キャラ   :★★★★★

シュタインズゲートの紅莉栖を助けられなかった世界線の物語です.
紅莉栖の過去やシュタインズゲートで回収されなかった伏線などがうまく回収されていて,
「まさかこんな背景があったのか」と思える作品なので,シュタインズゲートが楽しめた人ならば確実に楽しめる作品かと思います.
また,今作では人工知能が実現した世界を描いており,人工知能に関する中二病が豊富な感じが個人的に楽しめました.
量はそれなりにあって,6ルートあるのですが,続きが気になってしまい1週間ですべてクリアしてしまいしました.

最終的に,まだ,明らかになっていないこともある気がしますが,何かで回収されるんだろうか?その辺も気になります.
あと,紅莉栖の所属してたヴィクトル・コンドリア大学脳科学研究所の平均年齢どうなってんのか気になりました.

想像力がない人間ほど沸点が低い

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

来年度からかなり毛色の異なる人たちとかかわることが多くなりそうなので,相手のバックグラウンドを想像し,尊重しつつ過ごす必要がありそうだなと思う今日この頃です.

マスカレード・ホテル
著者  :東野 圭吾
分類  :小説
総合評価  :★★★★
文章    :★★★★
内容    :★★★★
キャラ   :★★★★

推理小説なので一応殺人事件が起こって,それの解決を目指すというプロットですが,
その実は,ホテルという特殊な環境での出来事や小さな事件の方が印象的でした.
ラノベ的にタイトルをつけるならば,「警察官の俺が東京の高級ホテルのホテルマンとして潜入捜査をしてみた」という感じでしょうか.
ホテルマンに化けて潜入捜査する中で,ホテルの従業員としての接客に悪戦苦闘したり,
逆に,刑事としての観察眼が生きる場面があったりとドラマ的に面白い一冊といえます.

また,殺人事件に関しても,ホテルで得たヒントをもとに,殺人事件を推理していくところなどは見所です.
また,潜入刑事とその教育係であるバリバリのホテルウーマンとの最初はちぐはぐなところから徐々に打ち解けていくところも見所の一つかと思います.

最後に,個人的には,飲み会で空気を読んで友人とその彼女をおいてその場を去る理由として「娘が急に彼氏を家ににつれてきたそうです」っていうのを人生で一度行ってみたいセリフに登録しました.

今まで数多く(少なくとも600以上は見ていることが最近判明しました)のアニメを見てきましたが
sola はその中でも上位に入る面白さだったと思っています.
各キャラ(モブキャラ含む)が個性的で,それぞれ信念を持って行動し,それらが絡み合って最終的な結末に至る物語として非常に評価の高いアニメでした.
ちなみに,作中で出てくる「トマトしるこ」は気になったので自分で作って食べたほどです(味はお察しください).
というわけで,そんな sola の原作者である方の作品なので即買ってしまった作品の紹介です.

彼女たちが綴じる世界
著者  :久弥 直樹
分類  :ライトノベル
イラスト:渡辺 明夫
総合評価  :★★★★
文章    :★★★★
内容    :★★★★
キャラ   :★★★★★

「現実世界のすぐ隣に存在する世界をとじることを生業とする死神の存在」というありそうでなかった設定のテンプレートをうまく作ったところにこの本の見所があると感じました.
この本では主に二つの世界しか出てきませんでしたが,設定自体は汎用的なのでさらに多くの物語が創れそうだなと感じました・
また,テンプレ的でありながら,それぞれの世界の話では伏線あり,落ちありの飽きないストーリーになっているのも見所です.
小説的にも多くを語りすぎない感じで,それぞれの世界の話で最後に,「あれ?これってこういう解釈でいいんだよね?」といった感想を抱いて,つい友達と話したくなる内容でした.

まぁ話す友達いないんですけどね

私は死ぬときは密室殺人で殺されるか,ヤンデレに殺されたいという願望を持ってますが,
死に関しては人によって様々な好みがあると思います(残念ながら一人一回しか体験できませんが).

ヴィランズテイル
有坂有哉と食べられたがりの白咲初姫
著者  :綾里 けいし
分類  :ライトノベル
イラスト:リラル
総合評価  :★★★★★
文章    :★★★★
内容    :★★★★★
キャラ   :★★★★★

安定と信頼の綾里 けいしワールドという感じですが,
B.A.Dに比べるとやや軽めの内容で,ギャグパートが多めなのでよりライトノベル感が楽しめます.
主人公一家(全員怪物)と自称「食糧」の白咲初姫の化学反応の中で,比較的常識人である主人公の有坂有哉の東奔西走が見所です.
特に,白咲初姫の「有哉に食べられたい」という特殊な思考は,キャラを際立たせており,ストーリをより魅力的にしていると感じました.
理路整然かつ目的にまっしぐらな女の子がかわいいと思う人は初姫ちゃんを好きになれると思うので是非おすすめしたい一冊です.

人間とは元来コミュ障なのかもしれない

リアルが忙しくて,長らく本を読んでいなかったのでリハビリ中です.
フィクションの主人公は折れても立ち上がろうとするのに,
なぜ現実はそんな簡単にいかないのかということを考えている今日このごろです.
コミュ障だってコミュ障なりに頑張っている人たち(フィクション)を見て,今日も頑張ろうと思う僕なのでした.

さびしがりやのロリフェラトゥ
著者  :さがら総
イラスト:黒星紅白
分類  :ライトノベル
総合評価  :★★★
文章    :★★★
内容    :★★★
キャラ   :★★★

この物語は主観がテーマになっており,同じものを見ても登場人物それぞれの視点によって違う様に語られています.
叙述トリック...とは少し違うが,登場人物のそれぞれの視点から見ることで事実が異なった見え方をするという不思議な体験を読者に感じさせる作品です.

登場人物たちのすれ違いを描いた物語でありながら,
「どこかでみんながそれぞれの主観を持ち寄って,同じ視点に立つことができたなら,何かできたのだろうか.
何も変わらなかっただろうか」という文章が印象的でした.

登場人物の数だけ物語があるというのは「文学少女」シリーズでも取り上げられていたテーマですが,
この作品はまた別の観点・形で表現されているので,「文学少女」シリーズが好きな人は好きになれる作品かと思います.

あと,ちょこちょこ出てくる主人公の書いた小説「ヘンテコ王子とナントカ姫」の内容が気になる